福祉体感ツアー2019 第1回「ワークセンター中授」

2019年5月24日 2:00 PM – 4:00 PM
2019-05-24T14:00:00+09:00
2019-05-24T16:00:00+09:00
ワークセンター中授
大阪市天王寺区東上町4-17
無料
OSAKA福祉オープンキャンパス事務局
06-6776-7336
体感ツアー

福祉体感ツアーで本気のプロに、出会おう

ゲンバで働く先輩たちは、どんな想いで障がいのある方に接しているんだろう?そんなクエスチョンの答えを直接聞ける、プロに出会える、8回限定のゲンバ見学ツアーが開催されます! 第1回目は「ワークセンター中授」さんです。

ツアーレポート

開催風景

第1回学生向け福祉体感ツアー(in ワークセンター中授)開催シーン まとめ
日 時:
令和元年5月24日(金)/5月27日(月) 午後2時~4時30分
場 所:
ワークセンター中授
参加趣意:
就労支援事業所のリアル(事業解説・見学・実地体験・スタッフ交流)
○ イントロダクション(事業等の解説など)※24日事業担当者向け/27日学生向け ○ まずは所内の見学 ○ 実地に作業を体験 ○ スタッフに聞いてみる(どうしてこの職を選んだのですか?)

(編集後記)

 実際には、ひょんなことで就いた職業のこともある。若いころから福祉を志していた先輩ももちろん多くいる。人のお世話を焼くのでは無く、「その方の気持ちや背景に寄り添う仕事」なのだということを知る。皆さんがどう感じたかをアンケート形式で提出いただいた。以下にご紹介をしたい。(ツアー主) ○ 体感ツアー(第1回ワークセンター中授)事後アンケート(回収18)

【1.参加の動機】

・施設見学をしたことがなかったから(行ってみたかった)。

・障がいのある方と接するとはどういったことなのかに興味があったから。

・学校におけるこれからのコース選択(7月)の参考にしたかった。

・将来の就職の選択に役立てたいと思ったから。

・教科で教わるのではわからないことが現場にあると思ったから。

・案内(広報チラシなど)を見て、興味がわいたから。

・就職先の選択の参考になると思ったと同時に、自分個人の興味でも。

・障がいのある方の福祉サービスとはどのようなことをするのか気になったので。

・福祉の仕事について、詳しく知りたいと思っているから。

・施設見学をしたことがなかったから(行ってみたかった)。

【2.来所前と来所後での、抱いていたイメージの変化(来所前⇒ツアー終了後)】

・「必要最小限のコミュニケーション」⇒「コミュニケーションが一番大事」

・「安い単価の作業を繰り返すだけ」⇒「様々な作業種が用意されており、その方の適性に応じた作業種の適応も行っている。また多くの利用の方が楽しそうに作業を行っていた」

「辛そうで暗いイメージ」⇒「明るい環境設定が講じられていて、仕事の練習などを続けていくための場が設けられている」

・「自宅近くに福祉作業所があり、そこの利用者と思われる方から空カンなどを投げつけられたことがある(ちょっと怖いイメージ)」⇒「穏やかな環境で指導者がしっかりいる環境で仕事をされている(しっかりしたイメージ)」

・「怖いイメージ」⇒「楽しみながら頑張っているイメージ」

・「無言・静か」⇒「あいさつなどをしっかり行う」

・「粘土細工のようなものを作っているイメージ」⇒「会社にように身近な商品を作っていた」

・「楽しそうでない」⇒「楽しそう」

・「怖い雰囲気」⇒「怖いところではなく、意外に難しいレベルの仕事をこなしていた」

・「殺伐とした雰囲気」⇒「利用者さん同士がじゃれ合ったりして楽しそう」

・「もっと障がいや障がいによる不便さが際立ってる」⇒「どこに障がいがあるのかわからなかった」

・「スタッフと利用者の関係(会話量など)」⇒「病院研修時のスタッフと比べての関係性の良さ」

・「ワイワイとめいめいに作業をしているイメージ」⇒「支援者が身近に付添い、危険の無いように配慮していた」

・「やってみたら的な作業体験」⇒「私たちにも懇切に作業手順などを教えてくれた」

・「障がいのある方へのお手伝い」⇒「障がいのある方と共に作業を一緒に頑張る」

・「狭苦しいイメージ」⇒「かなり広い空間だった」

・「小学校中学校で同級生が居たので解っていると思っていた」⇒「成人期の障がいのある方のイメージが違っていたことに気が付いた」

【3.質問など】

Q1:どのようなスキルを持っていれば、ワークセンター中授のような福祉施設の指導員になれるのですか?

A1:私たちが行う支援には様々な技術や手法があります。それらを理論的に学ぶ機関もあり、学んだうえで取得可能な資格には「社会福祉士」や「精神保健福祉士」などがあります。私(前野)などは、支援学校の教諭資格を持っています。上記の諸資格などは正しく「障がいと何か」を習得できていることが前提となります。ただし、スキルだけを身につけていても「実際の指導現場」に馴染めるわけではないと思っています。インクルージョンという言葉をご存知でしょうか?私たちはいつ何時でも互いに支え合って生きるべきです。障がいの有無、生きにくさやはたらきにくさに差ががあったとしても、われわれが所属する社会は一つしかなく、そこで互いに協力し合えなければ「弱い側の方」はいつも困難さを感じ続けることを強いられてしまいます。共にできることから少しづつ援助する気持ちを出し合いましょうねという概念の息づく社会を「インクルージョン的社会」といいます。そこが肝要であり、そういった気持ちを育ててみようとする自分自身にまずはなっていただき、その上でできるかぎり実際に役立つ修練を積んでいただくことを期待しています。

Q2:仕事上で行き詰まることもあるのでしょうか?

A2:しょっちゅうです。どんな仕事も壁があるものです。一つ一つ壁を乗り越えても、その先にはまた新しい壁が立ちはだかるのでしょうね。特に福祉のお仕事は対人間のお仕事です。なので「人が好き」なことが条件かも知れません。親でも子でもない他人の相談に乗り、結果をできるだけ「その方の願い」に近づけるための仕事をしています。実習等でお会いする機会がこの先にあれば、もう嫌というほどご紹介できます。

Q3:派遣で同じような作業をやり、その時には自給1000円以上でした。作業種はほぼ同じでも少し割低いのはどうしてですか?

A3:派遣やチラシなどで会社がアルバイトなどを募集するのは、その背景として「自社でやらなければならないことをするにあたって、人材が不足しており、該当する正職を抱えずに、定められた期間内でかたずけたい」という思惑があるのです。①人を用いて仕事を完遂する⇒②そのためには採算の合う範囲で報酬を設定し、③とにかくやり遂げる、という思考のもと、広報したアルバイトで「あなたは比較的高額の仕事をした」ということになります。会社からしたらできる限り上限の賃金を払う計算をしての上です。反対に、私たちは、「儲ける」ために作業を軸にして利用者と向き合っているわけではありません。彼らが持つ将来像(はたらきたい)を適えるためにその手段として作業を共にしています。もちろん、はたらく練習であってもその労働報酬は支払う必要がありますので、できるだけ単価の高い作業ができるように準備はしています。単価が低くなりやすい理由としては「作業による就労準備」をするために「高い単価を維持するインセンティブの一つでもある“納期”などを“猶予”していただく」こともその一つとなってきます。儲けるよりも、「充実した労働習慣などを取得いただく」ことが我々にとっては本位となるため、商品によっては「少々単価が世間的に低い」ことがあります。

Q4:支援の形式について、他によくある形を教えてください。

A4:ワークセンター中授は、福祉サービス事業により、利用者に通所していただき、支援側はあらかじめ環境を設定した場で個々の利用者(定員60名)に対する「将来的な就業自立」を応援するところです。支援センターはこのワークセンター中授を拠点にし、ワークセンター中授のように「対象者を数的に限定」せず、まずは拠点の周辺でお越しになることが可能な方々に「ワークセンター中授」のような他場所を情報的にあっせんしたり、就労課題以外の困り感(地域生活、虐待、生活困窮、障がい受容に関する知識)などを併せてご相談する機関です。ご質問の「支援の形式」とは、障がいのある方の困り感の種類に応じて、地域にたくさん準備されている形式のことですね。多すぎてお答えのしようがありません。願わくば、そこを学校に在籍する間に色々と見知っていただくために「福祉体感ツアー」を企画し、ご提供しています。ペーパーなどで理解したと思い込むのは簡単ですが、できれば一つづつ、現場に伺い、話を聞き、整理していくことをお奨めします

Q5:どういった場面でやりがいを感じますか?利用者さんの年代で多くいらっしゃるのは?

A5:その昔、ご相談後、一定の時期を経て、見事に希望する「企業就業」を達成され た方が、「初給料でお土産買ってきたんで、センターのみんなで食ってくれや」ってお越しになったことがあります。嬉しかったですね。こういう仕事は、対する方が元気をなくしていることが多いので、こうやって元気よく感謝されることが一番やりがいを感じさせてくれます。相対する方の年齢層は様々ですね。統計的に言えば、20代(実年齢はもっと低いことも)から60歳すぎの方まで。はたらくこと、はたらいて収入を得ること、はたらくことで自分自身を自覚し取り戻そうとすること、etc。これらは生涯、個々の方にとっては課題になりうることであり、そういった方々が日々、センターを訪ねて来られています。

Q6:手作業ばかりなのはどうしてですか?また、支援側が最もつらいのはどういうときですか?作業の習得ができない方にはどのようにされていますか?

A6:手作業、現業としての生産活動、立ち仕事などは、ワークセンター中授の個性です。市内には、就労系の福祉サービス事業が1000か所近くあり、公的に定められた選択肢(移行・継続A型・継続B型)をそれぞれが標ぼうし、さらに、事業所ごとにこだわりぬいた「支援手法」を表現することで、利用を希望する方にとって、そこで良いかを選んでいただけるようになっています。なので、事業所によっては将来的に厨房などではたらいてみたい方には「飲食業務(厨房仕事)」などを学ぶ形式のところがあったり、街中のオフィスのような仕様でパソコンを使った形式のところなど、実に多種多様な展開があります。手作業だけが「仕事」だと思っているわけではありません。この「選ぶ」という行為は最も大切なことであり、セルフアドボカシ―(自己決定)を念頭に当事者を導くことは、支援をするにあたって最も重要な技術概念でもあります。最適な場を選び、そこで入念な就業準備を行っていただくためにはそういった情報がたくさん世に出回らないといけないと思っていますが、なかなか時間のかかることではあります。また、こういったマッチング(自分が納得できる場との出会い)がうまくいかないせいで、深いお悩みの淵に沈んでいらっしゃる方がたくさんおられるのも事実のようです。仕事の習得がうまくいかないことの大半は「マッチング・ミス」だと思うことがあります。人間だれでも探せば「自分にとって最良」の働き方に出会えると信じています。

Q7:日常で「言葉づかい」などに気を付けていることは有りますか?

A7:「ちゃん」付けをしないなど。○○さん。お互いにクリアするべきことは、共に社会ではたらくためには必要なことですので、支援する側が特に留意すべきことですよね。言葉は人を表すとよく言います。それと、障がいのある方をどのように見ているかに関係しますね。

ツアー主 拝